
この色の由来・歴史
「空蝉(うつせみ)」は、平安時代の美意識を反映した襲(かさね)の色目の一つです。この色は、表地に「蘇芳(すおう)」、裏地に「青(あお)」を使用し、夏の風情を表現しています。
「蘇芳」は赤みを帯びた深い色で、夏の夕暮れを思わせる情熱的な色合いです。一方、「青」は清涼感を与え、夏の爽やかな空を象徴しています。この組み合わせは、自然の中での生命の息吹と、儚さを感じさせる空蝉の生態を表現しています。
平安文学においては、空蝉は移ろいやすいもの、儚さを象徴する存在として描かれます。この色目は、着物の配色においてもその美しさを引き立て、見る人に夏の情景を想起させる力を持っています。こうした伝統色は、平安時代から受け継がれた美意識を今日に伝える貴重な文化遺産と言えるでしょう。

