
この色の由来・歴史
虫の音(むしのね)は、秋の深まりを感じさせる色目で、表が「栗(くり)」、裏が「青(あお)」という配色で構成されています。この色目は、秋の訪れとともに聞こえる虫の鳴き声をイメージさせるものであり、平安時代の襲(かさね)の色目の中でも特に情緒豊かなものとして知られています。
「栗」は、秋の実りを象徴する色で、温かみのある茶色が特徴です。一方、「青」は、澄んだ秋空を思わせる深い青色で、静けさと清涼感を与えます。これらの色が組み合わさることで、秋の夜長に響く虫の声が、優雅な着物の中に息づく情景を描き出します。
この色目は、当時の貴族たちが自然の美しさを愛し、四季折々の情景を着物に反映させようとした結果、生まれたものとされています。虫の音を感じながら、夕暮れの静けさに包まれる秋の情景が、視覚的に表現されるのです。平安文学にも見られるこの色目は、自然との調和を重んじる日本の美意識を象徴しています。

